放射性物質対策の現状

たまり続けるゴミ処理場の焼却灰

福島第1原発の事故で全国に飛散した放射性物質の影響で、ごみの処分が問題になっています。
震災前は建築資材に再利用されたり、埋め立てなどで処分されたりしていたごみや下水汚泥は、焼却灰になることで、放射性物質が濃縮され、一部の自治体では、処理できない焼却灰が行き場を失ってたまり続けているのが実情です。

焼却溶融システムの減容と除染に関する実証研究

弊社の溶融炉で焼却灰のスラグ化による減容化とCs濃度のコントロールを可能に

  • 可搬式表面溶融炉を用いて、主灰の溶融処理(スラグ化)が可能なこと、主灰及び飛灰のCaCl2のCs揮発促進効果に見通しを得た。これらの処理によって得られる溶融スラグの溶出性が低下することを確認した。
  • これらの結果をもとに放射性Cs汚染焼却灰の取扱方法(スラグの産廃処分または再利用、あるいはスラグへのCs安定固化)を検討するためのしきい値の設定方法を確認した。
  • 対策地域外の指定廃棄物(焼却灰)の調査結果から、溶融処理した場合のスラグの処分可能な量を試算した。

技術概要

試験目標

  1. Cs汚染焼却灰の溶融技術を実証する。
  2. 溶融スラグ化による減容比と、その際のDFを評価する。
  3. レベル区分する際のしきい値を評価する。

期待される効果

焼却灰のCs濃度に応じて溶融スラグは、除染(Cs濃度がしきい値より低い焼却灰の場合)、または、減容・安定化(同・高い焼却灰)が可能になる。これにより管理が必要となる焼却灰の減容化や輸送・保管時の安全性向上や費節減につながる。

事業の概要

放射性セシウム(Cs)汚染焼却灰の溶融試験を行い、処理による減容比と除染係数(DF)を評価する。
また、DFから設定される焼却灰のレベル区分のしきい値を評価する。

実施内容

可搬式表面溶融装置とバグフィルタを実施場所に仮設設置し、保管中のCs汚染焼却灰を溶融し、溶融スラグを得る。焼却灰、溶融スラグ、飛灰の化学組成、Cs濃度等を分析し、溶融処理による減容比とDFを評価する。
また、得られたDFから溶融スラグの取り扱いを仕分けする焼却灰のCs濃度を算出し、高/低濃度の2つのレベル区分にする際のしきい値を評価する。

実証研究の概要は、こちら

実証研究の詳細は、こちら

引用)(株)神戸製鋼所、「焼却溶融システムの減容と除染に関する実証研究」、
平成24年度環境省除染技術実証公募事業報告書(2013)のうち、環境省委託先の公開版HP資料
https://fukushima.jaea.go.jp/fukushima/result/pdf/pdf07/02-130627.pdf

①B2O3添加主灰の炉内溶融状況(2013年1月24日)はこちら

②B2O3添加飛灰の溶融スラグ流下状況(2013年1月30日)は(2013年1月24日)はこちら

③20%CaCl2添加主灰の溶融スラグ流下状況(2013年1月25日)はこちら

④22%CaCl2添加飛灰の溶融スラグ流下状況(2013年1月28日)はこちら